2014年3月23日日曜日

丹波漆の植栽地

現在うちにある漆の木は、2010年3月末に
京都福知山市夜久野町の丹波漆生産組合長(現・NPO丹波漆理事長)
岡本嘉明さんから譲っていただいたものです。

当時、丹波漆生産組合では前年の12月頃に
有志が集まって苗木植樹を行っていました。
これは、漆苗木の根が春になると生長を始めてしまうためで、
3月末だと「ぎりぎりかな〜」とは言われましたが、
当日の道中は時折吹雪になるような天候でした。
苗木を持ち帰るために父に車を出してもらいましたが、
せっかくなので丹後の漆濾し紙製造の田中和紙さんや、
その近くの元伊勢の神社に寄ったため、福知山に到着したのは夕方になりました。
 こんな景色が数分後には
こんな感じになり、雪になります。
翌朝はこんな感じ。
ブータンのパロの盆地の景色を彷彿とさせられます。

翌朝は幸い晴天になり、まずは植栽地を見学しました。
文化庁から「ふるさと文化財の森」に指定された植栽地。
立派な看板が立っています。

漆を掻けるようになるにはもう少しかかります。
葉がないと寒そうに見えますが、夏には葉が生い茂っています。

こんなに寒いのに、既に毛虫がついていました。
もちろんさっそく駆除です。
ここ数年の異常気象のせいか、こういった害虫の他にモンパ病や
猪や鹿の被害も甚大で、ここにも電気柵が設置されていました。

 前年に植えた川の近くの植栽地です。
水が多いので、盛り土をしたところに植えられています。

ちなみに、この近くには、「やくの玄武岩公園」という場所があります。
この近くには、京都府唯一の火山である田倉山(宝山とも)(標高349.7m)があり、
その火山の溶岩がこのように固まったというわけです。
県境を挟んだ兵庫県の豊岡市には「玄武洞」という場所がありますが、
「玄武岩」という名前はもともと江戸時代の儒学者、芝野栗山が、
ここが伝説上の動物「玄武」の姿に見えると名付けた「玄武洞」にちなみ、
1884年に東京大学の地質学者だった小藤文次郎により名付けられたのだそうです。
 イギリスにはGiant's Causeway(Led Zeppelinの「聖なる館」のジャケットの撮影場所)
という有名な場所がありますが、
日本にも似たものがあることに正直驚きました。

 丹波漆にはこのような見晴らしの良い植栽地もあり、
ちょっと斜面の日陰になっている場所もありました。

この写真に写っている木は、一昨年、昨年で全て漆掻きをされて、幹は切り倒され、
新たに新しい苗木が植えられています。
写真では見えませんが、右手方面に田倉山火山があります。
 この山のおかげで、このあたりにはクロボクという良い土があり、
漆の木が良く育つというわけです。

さて、帰宅した翌日さっそく苗木の植え付けを行いました。

1年生の苗木の植え付けは父が完全に主導権を握ってしまい、
私は別に頂いていた漆の根(鉛筆くらいの太さで10~15cmに切ったもの)
を植える作業をしました。
丹波漆は全て分根法で苗木を作っています。
分根法は親木と全く同じ性質を引き継ぐ、つまりクローンができるのです。

この時植えた1年生の苗木が現在3メートルくらいになり、
また、根っこから育った苗木がこんな感じです。

梅の花の季節も終わり、漆の根もそろそろ動き出す頃でしょう。

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