2014年2月4日火曜日

地味な作業

中国の鍛金工房の話題を書いたところで、
同じチベット仏教のブータンの工房を思い出しました。

首都ティンプーの裏通りで
お客さんが誰もいない土産物店の
ショーウインドーに並ぶ巨大な漆器に驚き、
ガラス越しに写真を撮っていたら
「中に入ればいいじゃない」と声をかけられました。
イタリア人の団体を自由行動にしたので、時間が余ってぶらぶらしていた
ツアーガイド君でした。

彼によれば、ここの漆器はティンプー郊外のジミナ(Gemena)で作られていて、
あらかじめ予約をしておけば、職人が作業しているところが見学できる、
自分は何度か行ったとのこと。
そんな情報は全く聞いたことがないので是非行きたい
詳細を教えてくれとしつこく聞きましたが、急に行っても駄目だから、の一点張りで、
とにかく地名の綴りだけを書いてもらい別れました。

ホテルに戻ってこちらのガイドに聞いても、そんな話は聞いたことがない、
ジミナにはダルマという金属仏を作る会社の工房があるだけだ、と言うのですが、
こんな近くにいるのだから探しに行こう、
最悪でもそのダルマという工房を見に行こうと、翌日の予定に無理矢理組み込みました。

ティンプー市内にはダルマのショールームがあるから、まずそれを見て、
その間にガイド君は水など買い物をしました。
店内が暗くピンボケですが、仏像が並んでいます。
顔の部分は特に大切なのか、ひとつづつ丁寧に梱包されています。

粘土の原型も置かれていました。

ここからジミナに向いました。
道中で人に出会うたびに、漆器工房はないかと聞き続けたものの
そんな場所は聞いたことがないという返事のみ。
おそらく、外国人ツアー向けにその時だけどこかから職人を呼んで
実演を見せているだけじゃないかという
ガイド君の結論でした、

仕方なくここは諦めてダルマの工房に向かいました。
工房は病院などのある町の中心からさらに奥の
材木加工場や採石場を越えた、
道路の終点のような場所でした。

 工房の入り口です。看板も何もなく、入り口も開けっぴろげです。
中には仕切られた小部屋がいくつかあります。
手前の部屋では、鋳造した仏像の仕上げ作業をしていました。
ヤスリで一つづつ磨いています。
傍らには大量の仏像が。
ネパールなどにも輸出されるそうです。
中央の大きな作業場には製作途中の品が。

隣の小部屋では、ヤニ台に接着した金属を加飾中。
手慣れた職人技ですね。
 その横でも、別の板をヤニ台に接着する準備をしていました。
女の子達も細かい仕上げ作業中。
ドマ(蒟醤:ビンロウジュの実で嗜好品)を入れる箱でしょうか。

奥の部屋では、蝋型を成形する作業中でした。
蝋型の細かい部分の修正です。
向かいの閉め切った部屋の中では、腐食液に金属板を浸していました。
腐食が進むと、表面に塗った塗料を削った部分の模様が凹み、模様として残ります。

鋳造は中央の土間で行われるようでした。
つまり、全ての金属加工がこの一カ所で行われているわけですが、
基本、やっている事は日本と同じです。
後で聞くと、ジミナには再生紙の製造工房もあるという話でした。

将来、こういう工芸工房を巡るツアーができたらいいなあ、
と、同行のMさんがつぶやきました。

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