2013年11月27日水曜日

白い花で染める

月曜の強風で美しく色づいた紅葉も一気に姿を消してしまう前の
暖かい日差しの日曜日



岐阜県大垣市の奥の細道むすびの地記念館で開催された
所鳳弘さんの草木染め50年記念の展覧会を見に行って来ました。

所さんは、京都のご出身で、
23才できれいな水と薬草の宝庫の伊吹山が近い大垣市に工房を開かれ、
その後、地元だけでなく、海外でも草木染めと組紐の指導にご活躍されている方です。

入り口で配布されていたパンフレットの表紙には
マケドニア茜を使って染めた布が一枚づつ貼られていました。
その鮮やかさにも目を奪われます。
地元に生えるアブラナ科の植物の灰だそうです。

残念ながら会場の写真は撮影できませんでしたが、
地元で採取された300種類の植物から1,000色もの色を染めあげた
布片を貼り付けた折り本の見本帳が圧巻でした。
ただ布片が並んでいるだけでも美しく、草木染めらしい落ち着いた色から
こんな色が植物から出るとはすぐには信じられないような
あざやかでポップな色までありました。

見本帳の最後の方には「白菊」など
白い花の名前が横に
書かれた布片がありました。
「白い花にも色素があることに気づく」
という一文が、所さんの経歴の最後に記されていました。

言われなければただの白い絹布かと見過ごしてしまいそうですが、
何ともいえない暖かさがあります。
所さんは見えない色も染められているのでしょうか。

マケドニア茜を用いて貝紫のような紫を出したサンプル布は
茜の根とともに展示されていました。

隣の部屋では、組紐体験講座が行われました。
(ご許可を頂き撮影しました)
お子さん連れの方も何人も参加されておられました。
この親子さんは以前も組紐教室に参加されていたようで、
かなり手慣れた感じでした。

初体験のアメリカ人の男性も真剣そのものです。

組紐の台には、8本の糸がこのように配置されていました。
それぞれ細い絹糸が28本だそうです。

糸巻は、中心に鉛の錘が入っているので、自然に糸を均一に引っ張ってくれます。
糸があまり長く垂れすぎないように少しづつ糸を出しながら作業します。
作業時には糸巻は触らないよう、糸を持つようにと注意されました。

最初は糸を移動する順序と場所を覚えるのが大変ですが、
一度体が覚えると手早くきれいに作業ができます。
てきぱきと教えて下さった方はわざわざ豊橋から来られた方でしたが、
最初の組み方で結構な長さとなった後、別の組み方も教えて下さいました。

組んだ糸の先にもこのように錘がついています。
台の下に着いたら錘の位置を上にします。

錘を入れる袋も古い縮緬の布でとても素敵です。
この中に鉛の錘が何個か入っています。

糸の最後まで組み終わりました。
組み終わった紐は持ち帰らせて頂けました。

所さんは、桜の花の色をなんとか染めたいと苦心され、
ある秋、紅葉した桜の葉を集めてお正月まで保管しておき、
それを2日に汲んだ若水に入れて煮出したところ、
大変美しい桜色が染め上げられたとありました。

奥の細道記念館の目の前にある水門川の川沿いでは桜の紅葉がまっさかりでした。
今年も所さんはこの葉を集められたのかな、と眺めました。

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