2015年5月2日土曜日

蜂と漆

今年の春は春を感じる余裕もないまま、
一気に夏に突入したような暑さです。
庭のボタンの花も、咲いているのに気がつかないうちに散ってしまったと
母が嘆いていました。

そんな中、洗濯物を干していたら、
家の軒下に蜂が巣を作っているのを発見。
昨日から見ていると、ずっと同じ一匹の蜂が作っています。
こんなところに巣を作られると困るなあ、というのが正直なところなのですが、
一生懸命作っている様子を見ると、壊すのもしのびなく。

以前、このブログにも書きましたが、
フランス人のレオミュールが
蜂の巣を見てパルプを使った洋紙の製造を思いついたという話ですが、
アシナガバチの巣には植物繊維は使われている様子がなく、
スズメバチの巣と違って透明で薄く、さらに丈夫そうです。
そして、注目するのがこの部分。

これが漆だという説を、蒔絵の人間国宝、故・田口善国先生が語っておられます。

ポーラ伝統文化財団伝統記録映画
「変幻自在・田口善国 蒔絵の美」

(この映画は財団から無料で借りることができます)

うちの庭の漆の木の樹液を使っているのでしょうか?
色がどことなく漆っぽいです。
そう思うと、余計にこの巣を取るのがためらわれます。

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5/2 補足
日本応用動物昆虫学会名誉会員で、
昆虫の著書を多数出されている梅谷献二先生より以下のメールを頂きました。
皆さんもアシナガバチを見たら暖かく見守ってあげてください。

「ブログのアシナガバチは巣の中央に柄のある
セグロアシナガバチという種類のようです。
アシナガバチの仲間は秋に交尾した雌が越冬し、
春、ただ1匹で小さい巣をつくり、卵を産み、
幼虫に餌を運ぶまで、すべてを母1匹だけでこなします。
こうして最初の子供(働き蜂―すべて雌)が育つと、
これらの作業は働き蜂が受け持ち、
母蜂(女王)は産卵に専念し家族が増え、巣も大きくなってゆきます。

人がつついたりしない限り攻撃してくることはありません。
暖かい目で観察してください。
秋になり貯精嚢(のう)の精子のストックが少なくなると、
無精卵を生み、それからは雄(王)が出現します。
方、働き蜂の中から次代の新女王蜂も生じ、結婚飛行に飛び立ちます。
そして旧女王はすべての役目を終わり死んでゆきます。」

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