2014年10月2日木曜日

蓮の糸

9月29日に、浅草橋駅すぐの場所で開催されていた
新・東京スピニングパーティ2014」に行って来ました。
入場料1,000円にも関わらず、
月曜の午前中とは思えないほどの混雑ぶりで驚きました。
日曜日はさらに混んでいたそうです。

会場で販売されていた珍しい繊維の一つに、
「藕糸(ぐうし)」という、蓮の茎から採る糸がありました。
 出店されていたのは、町田市大賀藕糸館の方です。
 蓮の茎を折って引っ張ると細い糸が何本も繋がっているので、
それを撚って糸にするのが本来の「藕糸」だそうです。
藕糸織りで一番有名なのは、奈良當麻寺の「當麻曼荼羅」ではないでしょうか。
(追記※近年の科学分析の結果、蓮でなく絹糸で織られていることがわかりました)

蓮の茎の断面は、レンコンのように穴が空いているのですね。

藕糸を作るのはなかなか大変なので、
今回は、蓮の茎を煮て乾燥させたものから糸を紡ぐ実演をされていました。
これは「茄糸(かし)」と言い、
大賀藕糸館さんではこの糸を使った製品を作られているそうです。

向かいのブースは野蚕絹の専門店「アトリエトレビ」さん、
左隣も大人気の糸のお店で、この周辺は満員電車くらい大混雑していました。
水桶の手前に置かれているのが蓮の茎を苛性ソーダ水溶液で煮て
洗ってから乾燥させた繊維です。

これを湿らせて戻してから、細かく裂いて準備します。
繊維を一本づつ抜くのでなく、大きめに分けてそれを二等分、
さらに二等分という感じで少しづつ細い束にしていくのがコツだそうです。

数本の繊維を取り

少しづつ撚って、撚ったものを紙の芯に巻いて
端は洗濯ばさみで留めてから次の繊維を撚ります。
端まで完全に撚りきらないで、ばらけた状態にしてから
次の繊維を足していくという感じです。

レンコンの産地で収穫後の蓮の茎を使ったら廃物利用で良さそうに思えるのですが、
蓮の茎から蓮糸を採るのに最適な時期(9月上旬まで)と、
レンコンの収穫の時期(冬)は全くズレており、
葉っぱを採ってしまえば当然ながらレンコンは育ちませんから、
残念ながら共存はできないそうです。
もし自分で蓮糸を作るなら
お寺のようなところにお願いするのが一番だと言われましたが、
このブースでは栽培用の蓮の種も販売していました。
自宅での栽培というのも面白そうだなと思いつつ、
そうなるとやはり広い池が必要になりますよねえ(苦笑)。

ミャンマー産の藕糸を販売していたブースもありましたが、
さすがに高価(ひと綛4,000円)で手が出ず、
こちらで売っていた乾燥茎と、紙筒に少し巻かれていた蓮糸を入手しました。
乾燥茎を「一生分」と、10束大人買いされている方もおられました(笑)。

その他にも様々なブースで、なかなか見かけない珍しい素材が販売されており、
全く知らない来場者の方からも
「それ何ですか?」「どこで売ってましたか?」という質問から
話がどんどん広がったりで、
予定外の大散財の大荷物となってしまいましたが、
完成品でなく半製品や生素材に興味を持つ方が増えているということを実感し、
他の素材にも広がっていかないかなあといろいろ妄想を広げました。

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