2017年11月13日月曜日

日本の匙

少々時間が経過してしまいましたが、
さじフェスというイベントがあり、
3日間のうち2日だけ参加して来ました。

その時の様子は既に多くの方が書いておられるので省略しますが、
懇親会の時、スプーンの歴史についての話題になり、
エジプトの化粧スプーンのような超古代の匙以外
(中でも一番気に入っているのがこの匙
匙の歴史について、
これまであまり気にとめたこともなかったなことに気づきました。

汁物を料理したり配膳したりする場合
古くから匙状のものを使っていたことは間違いありません。
しかし、木製品、金属製品の場合
どうしても地中で腐ったり錆びたりして
なかなか残りませんよね。
日本の匙の原点は、貝殻に柄をつけたものだということですが、
もちろん動物の骨なども使われていたようです。

そんなところで、最近、
奈良文化財研究所に併設されている平城宮跡資料館の展示を、
大学生の研修旅行以来初めて見る機会がありました。

メインは、近年国宝に指定された木簡の展示でしたが、
そこの展示品に、木製漆塗りの匙が!
柄の部分はなくなっていますが、
頭は現代のスプーンと同じ形をしています。

これが、奈良時代の貴族の食事の再現風景だそうです。

想像復元された匙がこちらです。
柄の長さや形状は不明だそうですが、
頭は当時の器の底の形に合った形状なのですね。

木製の匙は弥生時代の遺跡からも見つかっており、
逆に、箸は奈良時代の遺跡から見つかってはいるものの
その数は実はそれほど多くなく、
貴族など一部の人が使っていただけで、
庶民は手で食事をしていただろうということ。
箸が広く使われるようになったのは平安時代から、というお話でした。
日本で箸より匙の方が古くから使われていた、というのは
古代の食事事情と密接に関係しているのでしょう。

(ところでこの平城宮跡資料館は入場無料の上
特別展の木簡の冊子まで無料でいただけたのにはびっくりです。)

さて、さじフェスでは、
日本の木製スプーン作家さんの実演のほか、
スウェーデンのスプーン作家のヨゲ・スンクヴィストさんによる
講演とスプーン製作ワークショップがありました。

生木を使い、鉈とフックナイフを使って形を作る方法は
これまでの自己流のノミ、小刀、彫刻刀を使う方法よりもはるかに楽で、
忘れないうちに自分も、10月の台風22号で倒れた木の枝を利用して
スプーンを試作してみました。

性格がひねくれているので、
木の割れとよじれをそのまま利用した、
ちょっとひねくれたスプーンになりました。

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